岐阜県揖斐川町春日(かすが)地区は岐阜県西部、滋賀県境と揖斐川に挟まれた標高200メートルから600メートルの中山間地にあります。この地区には滋賀県境の伊吹山・貝月山を水源とする粕川(かすかわ)の谷に沿って西から小宮神(こみやかみ)、香六(こうろく)、上ヶ流(かみがれ)、下ヶ流(しもがれ)という茶を栽培する集落が点在しています。香味の良い良質な茶は比較的冷涼な河川の上・中流域の朝霧が立つような地域で生産されるといわれますが春日地区はまさにこの条件に恵まれたよき茶の産地です。
この地区では優良品種の「やぶきた」に加え「ざいらい」と呼ばれる茶が栽培されています。「ざいらい」とは茶が東南アジアから日本に伝来して以来、品種化されておらず種子で世代交代してきた茶です。現在日本国内での茶生産・流通は「やぶきた」と派生品種が95%以上を占めています。これに対し「ざいらい」は作付面積が茶全体の3%ほどといわれほとんど市販されていない希少な茶です。消費者の嗜好に合わせて品種化されていないので「やぶきた」などの品種茶と比べて旨味は軽いですが清涼感のある香り高い茶です。
春日地区での「ざいらい」の歴史は1,000年にわたると言われています。最近の遺伝子調査によればこの地の「ざいらい」は宇治茶とほぼ同じルーツを持ち11世紀初頭にはこの地にもたらされたと推定されています。またこの地区では従来から地区全体で農薬不使用での栽培を行っています。しかし最近は過疎化高齢化のため耕作されなくなった茶園が目立ちまた茶価格の低迷により茶摘みを行わない茶園が増加しています。春日乃売茶翁は地区の皆さんをお手伝いしながら茶の実を中心とした体験イベントやスキンケア商品、食用茶の実油など魅力ある商品作りを通して耕作放棄茶園の再耕、不摘採茶園の減少を目指しています。
岐阜県立森林文化アカデミーによる遺伝子調査の報告
全農茶ガイド
天空の遊歩道から眺める上ヶ流茶園
Kamigare tea plantation from the heavenly old tea garden scenic trail.